弔電とは
弔電とは、葬儀に際して弔いの気持ちを伝える電報のことです。弔電を送る際は、葬儀の開始時間までに、通夜・告別式が行われる場所へ喪主宛に送るのが基本です。
弔電の主な目的は、何らかの事情で通夜・告別式に参列できない場合に、その旨を伝えるとともに、故人への哀悼の意を表すことです。弔電を送る際には、「送る」ではなく「打つ」という動詞を用いるのが一般的です。
弔電の申し込み方
弔電を申し込む主な方法には、電話による申し込みとインターネットからの申し込みの二通りがあります。
弔電の申し込み手続きをスムーズに行うためには、いずれの方法を選択する場合でも、事前にいくつかの情報を準備しておくことが大切です。以下では、共通して必要な準備と、それぞれの申し込み方法について詳しく解説します。
事前に準備しておくこと
電話で申し込む場合とインターネットで申し込む場合、いずれの方法でも、弔電に記載する文章の内容と弔電のデザインを事前に検討しておく必要があります。
弔いのメッセージは、故人やご遺族への想いを込めて丁寧に考えたいものですが、完璧な文言を一から考えたり、デザインの細部まで決定したりするのは、慣れない方には難しいかもしれません。
特に電話で申し込む場合は、文章の構成や伝えたい内容の大まかなイメージ、希望するデザインの雰囲気などを事前に決めておき、オペレーターに相談しながら具体的な言葉やデザインを決めていくのも、スムーズに手続きを進めるための有効な手段です。
電話での申込から受付までの流れ
電話で弔電を申し込む場合は、局番なしの115番に固定電話または携帯電話からダイヤルします。電話がつながりオペレーターが出たら、弔電を依頼したい旨を伝え、希望する弔電のデザインとメッセージの文章を口頭で伝えます。
オペレーターが弔電作成に必要な情報を順に質問してくれるので、それに従って答えていくことで申し込みが完了します。
NTTの115番へ電話した場合、通話料金は無料です。そのため、時間を気にすることなく弔電の内容をオペレーターと相談しながら決めることができます。
現代では利用者が少なくなりましたが、公衆電話から弔電を申し込む場合は、0120-759-560へ電話をかけます。
インターネットでの申込から受付までの流れ
インターネットで弔電を申し込む場合は、各電報サービス事業者の弔電申し込み専用サイトにアクセスし、画面の案内に従って必要事項を入力していくことで手続きを進めることができます。
インターネット申し込みの大きな特徴として、電話のようにオペレーターと直接相談することはできませんが、豊富な種類の台紙デザインを画面上で確認しながら、じっくりと選ぶことができるというメリットがあります。また、例文が用意されている場合も多く、文章作成の参考にすることも可能です。
弔電を打つ際の注意点
弔電を送る際には、敬称の使い分けに細心の注意を払う必要があります。弔電では、一般的に日常会話では用いない特別な敬称を用いる場合があり、誤った敬称を使うことは失礼にあたります。また、不幸に関する特定の言葉を連想させる忌み言葉と呼ばれる言葉も避けるべきです。
さらに、弔電は葬儀や告別式の中で読み上げられたり、ご遺族の間で回覧されたりすることがあります。そのため、マナーに反する内容や場にふさわしくない表現、唐突すぎるメッセージは避けるのが賢明です。故人を偲び、ご遺族の心情に配慮した、丁寧な弔いのメッセージを送ることが大切です。
敬称の付け方
適切な敬称について、弔電で用いる敬称:受取人から見た故人の続柄
・受取人の実父:ご尊父(そんぷ)様、お父様
・受取人の義理の父:ご岳父(がくふ)様
・受取人の実母:ご母堂(ぼどう)様、お母様
・受取人の義理の母:ご岳母(がくぼ)様
・受取人の夫:ご主人様、ご夫君(ふくん)様
・受取人の妻:ご令室(れいしつ)様、ご令閨(れいけい)様
・受取人の兄弟:ご令兄(れいけい)様、ご令弟(れいてい)様
・受取人の姉妹:ご令姉(れいし)様、ご令妹(れいまい)様
・受取人の息子:ご子息(しそく)、ご令息(れいそく)様
・受取人の娘:ご息女(そくじょ)、お嬢様
避けるべき言葉
弔電を含め葬儀の場で避けるべき言葉に「忌み言葉」があります。不幸の繰り返しを連想させる「たびたび」「ますます」などの重ね言葉は用いません。「死ぬ」「苦しむ」「浮かばれない」「続く」といった不吉な言葉や状況を連想させる言葉も避けるのがマナーです。
これらの点に注意すれば、弔電では基本的に自由に想いを伝えて構いません。しかし、故人への想いよりも、厳粛な場であることと、悲しむご遺族への配慮を優先しましょう。失礼のない弔電を送るためには、状況に応じて定型文を選ぶのも良い方法です。
弔電を控えるべきケース
近年増えている家族葬においては、特にご遺族の意向を尊重することが重要です。
葬儀の案内の時点で、会葬や香典が辞退されている場合がありますが、弔電についても同様に辞退されるケースがあることに留意しましょう。
故人やご遺族へお悔やみの気持ちを伝えたいというお気持ちは当然のことですが、ご遺族が様々な事情を考慮した結果、弔電を辞退されている場合は、その意向を何よりも尊重しなければなりません。ご遺族の意向に反して弔電を送ることは、かえってご迷惑となる可能性があります。
弔電の相場
弔電の料金は、選ぶ台紙の材質や装飾、また線香やプリザーブドフラワーなどの付属品の有無によって大きく異なります。近年では弔電の種類も多様化しており、故人を偲ぶ気持ちを形にする様々な選択肢があります。
弔電を選ぶ際に気になるのが相場ですが、一概に「いくら」とは言えません。実際に選ぶ際には、故人との関係性や生前の親密度を考慮するのはもちろんのこと、今後ご遺族とどのような関係を築いていきたいかという視点も大切です。
料金面で迷う場合は、ご自身の状況や故人との関係性を周りの方に相談してみるのも良いでしょう。様々な意見を聞くことで、より適切な弔電を選ぶことができるかもしれません。
特殊なケースでの弔電の打ち方
弔電を送る機会は、一般的な葬儀の他にも、例えば個人社葬のように、企業が主体となって執り行う葬儀の場合など、稀なケースもあります。このような社葬の際、企業の代表として弔電を送る場合、受取人の宛名をどのように書くべきか、どこへ送るべきか、差出人はどう記載すべきかなど、通常の弔電とは異なる点に戸惑うこともあるでしょう。
また、弔電と香典の両方を送りたいと考える場合もあるかもしれません。その際、どのような手順で送るのが適切なのか、判断に迷うこともあるでしょう。
以下では、上記のようなイレギュラーな状況における弔電の送り方について解説します。
社葬の場合
社葬の場合、一般的な葬儀とは弔電の様式が異なります。社葬での弔電は、受取人の宛名や宛先、差出人に注意が必要です。
まず受取人ですが、一般の葬儀では喪主宛とするのに対し、社葬の場合は葬儀を執り行う主体が企業なので、弔電も葬儀の責任者宛にします。次に差出人ですが、一般的な葬儀は差し出す本人の名前を記載するのに対し、社葬の場合は企業名と企業の代表者名とします。
弔電と香典を両方送る場合
弔電と香典を両方送る場合は先に弔電を送ります。弔電は通夜の開始前には届くようにしましょう。香典を送る際は現金書留を利用し、タイミングとしては葬儀・告別式の後、1週間以内がベストです。
もしも1週間以内に送れなかった場合は、三十五日または四十九日に忌明けの法要があるため、遅くとも1ヵ月以内には届くように手配しましょう。
例文
前述したとおり、弔電は一から自由に書くよりも例文を参考にした方が葬儀の場に相応しいものを打つことができます。以下ではそのまま使える例文をご紹介します。
・ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を捧げます。
・突然の悲報に接し、誠に痛恨の極みです。ご遺族皆様のご心痛いかばかりかとお察し申し上げます。安らかにご永眠されますよう心よりお祈りいたします。
・〇〇様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、心からご冥福をお祈りいたします。
・あまりに突然のご逝去、お慰めの言葉もございません。ただ、ご冥福をお祈りするばかりです。
・悲報に接し、悲しみにたえません。心よりご冥福をお祈りいたします。
まとめ
本記事では弔電の打ち方の基本をご紹介しました。大切な方の葬式にどうしても出席できない場合は、弔電を利用して故人への想いを伝えましょう。
受け取る遺族の慰みになるだけでなく、故人への何よりの供養となるはずです。